#05 これからもよろしく、という事 

ヨミモノ企画、椅子のリペアの最終回です。


前回から少し期間が空いてしまいましたが、椅子のリペア編も
今回で最終回。あとはウェービングテープを張ってその他の
張り地を戻していきます。

まずは問題のウェービングテープをタッカーでとめていきます。
強度が出るように編みこむように貼っていきましょう。感覚が
均等になるようにあらかじめ印をつけて片側を留め、5㎝程
ぐっと引っ張って反対側を留めます。

今回ウェービングテープと一緒に発注したのがスウェーデンは
Rapid社のガンタッカー。お勧めです。家庭用のタッカーなど
では威力が弱く、針が入りきらなかったりするのですが、さすが
プロ仕様!(本当はエアコンプレッサーに繋いで使うエアタッカー
がプロ用なのですがさすがに高いので・・・)バシバシ打てます。

さすがに打つ時の反動は大きいですが打ちミスがほとんど出ま
せん。やはり仕事は段取りと道具ですね。なんて言うと偉そう
ですが、今までの苦労は何だったんだ!という実感です。



そして、麻布やウレタン、レザーの張り地もきれいに貼り直して
いけばようやく完成!下の写真で左がリペア前、右がリペア後
です。苦労した割には見た目は色しか変わってないですね^^;

kai02.jpg


しかしこうやって一つ一つの工程を丁寧に行うことで見た目以上
にコンディションが回復し、また長い間使用に耐え、使う人と
共に歴史を重ねていけるのです。

ですから家具を直す事は、「これからもよろしく。」と敬意を
表すことでもあると思うのです。残念ながら近年の家具は消費
社会の名の下、直せる事を前提に作られていないものが多くあ
ります。また直すより買った方が早い、という考えが主流でも
あります。それはそれでごもっともな意見だと思うのですが、
「生活を楽しむ」という価値観の中には消費以外のところで
手間や時間を掛けることも今後大切になってくるのではないか
と思います。

そしてそれを実践されている方が既にたくさんいらっしゃって
そういった考えで構築されるコミュニティも多く存在します。

それらはとても喜ばしい事ですが、まだまだ少数派であること
は否めず(多数派になることは無いのかも知れませんが)、
参加したくても内輪感が強かったり、住まいの周りにそのような
コミュニティ自体が無かったり、という状況がほとんどなのでは
ないでしょうか。

専門的な知識が無くても、趣味に没頭できるほどの時間が無く
てもちょっとしたアイデアや素材で生活はもっと楽しくなります。
ルオントはそういった「生活の小さな楽しみ」を身近に感じて
もらえるようなオープンな感覚のお店でありたいと思います。

そして、お客様からもアイデアを頂いて、一緒に生活を豊かに
していれけば、と考えています。是非、パンに対するアイデア、
雑貨の使い方に対するアイデア、それ以外にも生活が楽しく
豊かになるアイデア、たくさんお話していきましょう。


ヨミモノ企画、椅子のリペア編はこれにて終了!物質的な事だけ
でなく、直すという事に込められた意味、少しでも感じて頂け
たなら嬉しく思います。

尚、直した椅子はもちろんルオントにて座って頂けます。生地
違いで2脚おいてあります。生地違いの方はウェービングベルト
ではなく板座にウレタン+張り地の張り込みタイプになっています
ので、座り比べてみてくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございましたm(_ _)m



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#04 楽しい塗装のお時間です。

ヨミモノ企画、椅子のリペアの第4回です。


リペアも中盤を越え、いよいよ塗装の段階へとやってきました。手順としては
1・1回目の塗り
2・研磨
3・乾燥
4・2回目の塗り
5・研磨
6・乾燥
となります。ではさっそくいってみましょう!

まずはステイン塗料を塗っていきます。チークオイルじゃないの??と疑問に
思われる方もいらっしゃると思いますが、木地肌を完全に出した状態でチーク
オイルを塗ってもあまり色が付きません(オイルの種類にもよりますが。)
そこでまずは色付けをします。

今回はこっくりした飴色を表現したかったのでマホガニーブラウン、という色を
選んでみました。ここでのポイントはニス入りの物は使わないこと!後で塗る
チークオイルは木にしみ込んで耐久性を高める塗料なので表面に塗膜を作ると
はじいてしまうからです。

ステイン塗料をスポンジに含ませて木目に沿って手早く塗っていきます。乾燥する
と色は若干薄くなるのでちょっと濃いかな?位でOKだと思います。

塗り終わったら「ウェット研磨」という工程に移ります。#400の耐水サンド
ペーパーで濡れたままのフレームをささっと研磨していきます。これにより木地に
しっかりと塗料が入り込みます。

次は乾燥させた後、ウエス(柔かい綿素材の布です)で前の工程で乗りきらなかった
塗料を拭いていきます。ちなみにナラなど導管の太い木材の場合は塗料の吹き出しが
無くなるまで定期的に拭きます。丁寧に拭くとしみにならずきれいに仕上がります。

ここまでやったら丸1日は放置です。

1日乾燥させて、むらなどなく思う色合いに仕上がっていれば次の工程はチークオイル
の塗装です。仕上がっていなければちょっと難しいですがそっとサンドペーパーで
こすって木地を整えながら再度着色してください。あまりにむらがひどいようなら
思い切って下地作りからやりなおした方が早いと思いますが、プロのメンテナンスとは
比べようもないですからちょっと位のむらは全然OKなのではないでしょうか。

チークオイルも木目に沿ってスポンジでさっと塗っていきます。均等な濃さで塗って
いきましょう。そのあとまたウェット研磨です。今回はさらに細かい#800の耐水
サンドペーパーです。なければ使い古しの#400でも構いませんよ。今回のウェット
研磨の役割はオイルと木の粉がペースト状に混ざり合い導管の目止めをする、という
ものでこれが木地内部に汚れなどが入り込むのを防いでくれます。

そして15分程放置したのちウエスで丁寧に拭きあげます。すると上品な艶が現れ、
うるおいのあるビンテージらしい良い雰囲気が生まれます。

以上が塗装のおおよその手順です。リペアはダメージの状況などで手順が変わってくる
ので不安な場合はプロにお問い合わせくださいね。

これでフレームのメンテナンスは終了です!疲れ果てていた椅子がまた元気を取り戻す
様子が一番わかるのが塗装ではないでしょうか。どんな風に生まれ変わったかは次回、
画像でお見せしますね!

次回はいよいよ最終回!張り替え作業です!

#03 重要なサンディング



ヨミモノ企画、椅子のリペアの第3回です。

今回はフレームのメンテナンスを行います。フレームは傷み具合によって
リペアの工程が変わるのですが、大まかに言うと

A・フレームのガタつき・緩みを直す
B・塗装の下地を整える
C・再塗装する

という3カテゴリーに分かれます。Aは構造上の問題点を直すという安全に
関わることなので最重要なのですが、今回はボンドの止め切れや木の割れも
ない状態でしたので手を加えません。もしするなら、以下の流れです。

1・分解できるところまで分解(無理にするとパーツを痛めるので注意)
2・割れや結合部分などにボンドを淹れなおして接着(結合面はきれいに
整えます。ボンドを淹れた後はクランプという万力的な道具できっちり
締めて接着します)


さて今回は「塗装の下地を整える」ためにまずはサンディングから。塗装が
扱ったりオイルと汚れが塗り固められてしまっている場合はリムーバーという
塗装をはがず溶液を使ったりしますが、今回の物はどちらかというとオイルが
蒸発しきってからからの状態。それでいて部分部分で色が濃かったり薄かったり
という感じでしたのでいきなり削っちゃいます。

「下地を整える」というのは「木の着色の状態を均質な状態にする」という
ことなのですが、今回のように場所によって色の濃さが違う場合、正直、部分
部分で削り具合を調整して全てを同じ程度にするのはとても難しいです。
ですから全部塗料が落ちるまで削って元の木地を出してしまうことにします。

まずは粗い#120のサンドペーパーからスタート。ここでポイント!手で
直接ペーパーを持ってしまうとどうしても指のところに力がかかってしまい
均等に削れません。必ず何かに巻きつけて使います。僕の場合はホームセンター
で、見つけたスポンジのような物。これがなかなか優れ物で表は固い面、裏は
柔かい面でそれぞれマジックテープのような表面になっていて、専用のサンド
ペーパーをくっつけて使えます。

平面を削るときは固い面、曲面を削るときは柔かい面と使い分けていきます。
ちなみにテーブルなど大きい面を削るときは木片に巻きつけるのが一般的な
様です。(大きいテーブルは電動サンダー位はないと途方もない時間がかかり
ますが・・・。)

このサンディング、タッカー外しと同じかそれ以上に大変な作業なのですが
手を抜いたりすると仕上がりが全然違ってきてしまいます。苦労を無駄にしない
ためにも丁寧に削っていきましょう。消したい傷などはこの時点で削り取り
ます。

この辺りは好みの問題なのですが、ささくれや大きな傷など使用上危ないもの
やあまりに見苦しいものは削り取るべきだと思いますが、小傷などは残した
方が僕は好きです。きれいな椅子が良いなら新品がいくらでもありますし、
小傷などに塗料が入り込んで見せる陰影は偶然の産物としてとても美しいと
思うのです。なにより文字通り何十年もかけてその身に刻んできた歴史を安易に
消してしまうのはなんだか椅子に対して失礼というかもったいない気がして
しまうんですよね・・・考えすぎですか??^^;

さて続きです。

#120が終わったらいったん木の粉を拭いて次は#240で同じ作業の繰り
返しです。ここでもポイント!だんだんサンドペーパーの番手をあげてキメの
ある木肌にしていくわけですが番手を飛ばしすぎると仕上がりが悪いです。
削るということは傷をつけるということなので、その傷を消すにはあまり上の
番手だと消しきれない、という事ですね。

さらにこだわる方は#320、#400の順でどうぞ。僕は#240までで
リタイアです(笑)塗装したあとでさらっとですが#400もかけますしね。

かけ終わったら濡れたスポンジできれいに木の粉を洗い流しましょう。この
作業は木に水を含ませて、乾燥とともにへこみなどを戻す目的もあります。
(完全に戻らないものも当然あります。)

乾燥して全体が均質に削れていれば完了です!作業をしたのは真夏日だった
ので汗がしたたりました。リペアの職人さんは機械も使うのでしょうがこの
作業を1日何台もするのですから大変です。ヴィンテージ家具が高いのも
仕方ない、とやってみると納得してしまいます。

次回はいよいよ塗装です!






#02 まずはタッカーを外します

ヨミモノ企画、椅子のリペアの第2回です。

皆さんはヴィンテージショップなどでチェアやソファを購入されたことは
ありますか?ネットショップなどで説明文をみると「座面の中材、生地は
交換済み。フレームはサンディング、洗浄後、チークオイルにて仕上げ
ました」と、さらっと記載されていたりしますが実際そんなにさらっとした
作業じゃないんですよね。やはりしっかり仕上げるためにはちゃんとした
材料と手順が必要です。それを1つ1つきっちり行う職人さんたちは凄い
ですね。

ではさっそくいきましょう。まずは座面を直していきますね。まず座面を
フレームから外したら裏布をはがします。張り材はたいていタッカーという
ホッチキスの大きい版みたいなもので止まっていますのでマイナスドライバー
とペンチで1本1本抜いていきます。本当は専用の道具もあるのですが、プロ
ではないのでわざわざ買う程でもないですね。

ドライバーの向いた先に手や体があるとドライバーが滑った時に刺さります
ので注意!です。




さてはがし終わると中が見えました。やっぱりウェービングテープが切れて
いますね。このチェアは上から張り時(レザー)→ウレタン→麻布→ウェー
ビングテープという感じで重ねられています。ウレタン以外はすべてタッカー
で止まっていますのでどんどん抜いていきます。と言ってもかなり力も必要
な作業です。僕の場合はペンとボールを投げる以外は特に利き腕の区別が
ないちょっと変わった体質なので工具を持ちかえて握力をもどしながら抜いて
いきますがそれでも手には豆ができました。

全て抜いたタッカーの針を数えたら239本ありました。疲れたー(T T)
というわけで今回はここまで(^^;)新しいウェービングテープが届く
までに次はフレームの塗装です。つづく!・・・のか??



#01 壊れたら直す

まだまだ暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?
雑貨担当の岩崎です。さて、ルオントのオープン準備の
1つであるお店の什器の仕入れなどは僕が担当しています。

ルオントには2テーブルほどお客様に休憩していただける
スペースができるのですが、そこで使う椅子のうちの1脚が
届きました。

kai1.jpg

デンマークのKai Kristiansen (カイ・クリスチャンセン)
というデザイナーの椅子なのですがまったく無駄のない部材
の組み合わせでありながら平凡ではないフォルム、後ろ脚の
内側に向かって延びた姿などは気品すら感じてしまいます。

日本や世界中でスカンジナビアデザインが流行したミッドセンチュ
リーの時代にはこれらのデンマークチェアの模倣品がいろいろな
メーカーで作られました。なので「このチェア知ってる!」と
言う方もいらっしゃるかもしれません。それほど座り心地と
デザインに優れた秀作です。本物(模倣品を否定するわけでは
ないですが)は素材がチークで、座面はフレームにはまっている
だけ、というのが特徴の1つです。ビンテージショップでも状態
の良いものだとなかなかの値が付いています。

そんな素晴らしいチェアが届いたのですからちょっと興奮気味に
早速座ってみたわけですが・・・。おや・・・??まったく底
付き感がなく座面にお尻がすっぽり埋まってしまうわけです。

あわてて座面の裏を触ってみるとやっぱりでした。「ウェービング
ベルト」と言う座枠に貼られた緩衝材がほとんど切れています。
要するにトイレ便座に座っている状態。しかも枠はおしりより
大きいので表面に貼ってあるレザーだけで体重を支えている事に
なります。これではレザーが破れるのも時間の問題。

買ったお店の説明では「座面が少々へたっています」という事
でしたが。僕的には画像でもわかるようにレザーがちょっとくぼんで
いる事を言っているのだと思ったのですが。やられました(T T)

しかし確認を怠った僕も悪いですし、簡単にクレームにするのも
つまらない。今まで北欧で何十年も使われてきた椅子(60年代に生産
されていた物と思われます。)が縁あってルオントにたどり着いて
今からまた長い間付き合うことになるわけですから、よっしゃ面倒
みてやろうじゃないかってなりますよね!えっ?僕だけですか~^^;
どうりで家では「椅子おじさん」と呼ばれるはずです・・・。

ちなみに母親は何にでも布をかけるので「布おばさん」父親はちょっと
変わった人なので「変なおじさん」と呼ばれています(そんなことは
どうでもいいですね‐‐;)

というわけで前置きが長くなりましたがオープンまでにきっちり直し
ます。その様子をこちらのブログでつづっていきたいと思いますので、
椅子の張替など自分でしてみたい方は参考までにどうぞ。つづく!
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